珍奇植物の入手とワシントン条約の関係
最終更新日:
珍奇植物の仕入れでは、海外から国内へ植物を動かす工程がつきものです。乾燥地に自生するパキポディウム、コミフォラ、アガベ、サボテンなどの仲間は、国境を越える段階で制度上の確認が求められる場合があり、仕入れ側は、国内外の規制を確認するのが最初の工程になります。その接点となるのがワシントン条約(CITES)です。
ワシントン条約は、正式名称を「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)」といい、英文の頭文字をとってCITES(サイテス)ともいわれます。1973年にアメリカのワシントンで採択されたことからワシントン条約と呼ばれます。環境省の公式資料はこの名称と概要を説明しており、附属書に掲載された種は、国際的な取引の規制の対象になるという構造が示されています。
本ページは、環境省・経済産業省・農林水産省(植物防疫所)の公式資料を参照し、規制の流れを「〜と定めている」形式で説明しています。詳しい手続きの要件は、環境省・経済産業省・植物防疫所の公式資料をご確認ください。
附属書の仕組み
ワシントン条約では、規制の対象となる動植物を三つの附属書に分けて扱います。附属書Iは最も厳しい規制の対象、附属書IIは比較的広い範囲を対象にした規制、附属書IIIは特定の締約国が掲載を求めた種が対象となり、附属書ごとに求められる書類と手続きが異なります。環境省の公式資料では、附属書の掲載が国際的な取引の規制と保護の仕組みにつながると説明されており、附属書の掲載自体が種の保護の有効な手段として位置づけられています。
日本国内との接点として、附属書Iに掲載された種の商業目的の国際取引は、原則として禁じられると定めているのが制度の基本形です。附属書IIに掲載された種は、輸出側で許可書の発行要件を満たすことが前提となり、輸入側での確認手続きを踏む流れになります。つまり、附属書の区分を確認することは、取引の可否と書類の形を決める出発点になるという意味で、事業者と愛好者の双方にとって実用上の確認事項です。
日本語の文脈では、附属書に掲載された外来動植物を扱う法律として「特定外来生物被害防止法」や「種の保存法」が存在するという整理は一般的な理解に含まれます。ここでも、附属書の区分と国内法の対応関係を正しくつかむことが、国際取引の安全性を評価する出発点になります。なお、国内法の細かい条文は本ページでは触れず、正式な判断は環境省の正式な資料と事業者の確認に委ねます。
輸入・輸出の流れ
附属書に掲載された種の輸入は、大まかに整理すると、次の流れに従って進みます。
- 附属書に掲載された種の輸出:輸出側は、自国のCITES管理当局から「CITES輸出許可書」を取得してから輸出を行うのが、制度上の流れです。経済産業省の公式資料でも、日本から附属書規制対象貨物を輸出する際には、事前に経済産業大臣からの「輸出承認証」と「CITES輸出許可書」の発給を受けなければならないと定められている手続きが説明されています。
- 検疫の対象としての輸入:附属書とは別に、植物の病害虫の持ち込みを防ぐ視点からの検査が行われます。農林水産省の植物防疫所が、輸入植物の検疫の窓口として機能しています。附属書に掲載されていない植物でも、検疫の対象になる場合があるため確認が必要です。
- 届出と書類の整備:事業者側では、CITESの書類と検疫の確認が一貫した形で結びつくよう書類を整えておくことが、取引の安全性の基盤になります。
事業者側と愛好者側のどちらでも、附属書の掲載の有無と書類の整備は、取引を前に必ず確認する事柄です。書類が整っていない品種は、制度上で扱いが変わるため、価格が安いという理由だけで判断しない構造になっています。愛好者側が個人で仕入れを行う場合も、附属書に掲載された種を旅行者の持ち込みの範囲外で持ち帰ることは基本的に避ける配慮が必要です。制度面の説明は、環境省の資料にある「附属書に掲載された種の国際取引の規制」という形で書かれています。
日本国内の規制の要点
日本国内で附属書に掲載された種を扱う場合、国内流通での取り扱いが附属書の区分に沿って変わります。具体的な区分や書類の形式は、環境省の公式資料に詳細が示されており、種の流通の流れで対応するのは事業者側の役割です。愛好者側には、「附属書の掲載の有無」を確認することが、「どのような書類が付くものか」を判断する手がかりになるという位置づけが分かりやすい例です。附属書掲載種の国内流通では、国際希少野生動植物種登録票という書類を伴う取り扱いが設けられている扱いが知られています。ただし、この登録票の細かい手続きは、環境省の公式資料を参照ください。
このほか、輸入された植物の安全性に関わる品質保全の仕組みとして、検疫による病害虫の防除が存在する点も、国内規制の一つの要点です。このほか、取引前の確認として、附属書の掲載の有無、書類の有無、検疫の確認の三つが並ぶ形で確認することは、買い手側にも分かりやすい確認の流れといえます。附属書に掲載された種の取引がどのような形で国内に持ち込まれるかは、事業者側の書類の整備の内容に依存するため、制度面が「購入前に確認する事柄」の形で並ぶという側面を持っています。
事業者側の具体的な取り扱い例として、東京・原宿の塊根植物とアガベの専門店RAFLUMでは、CITESに関わる品種に対して「国際希少野生動植物種登録票付」という表示を商品名に付ける運用が見られます。附属書に関わる品種を特別な区分で明示する姿勢は、制度面を商材説明と連動させる工夫の一つとして紹介できます。
事業者と愛好者それぞれの注意
事業者側の注意は、次の三つに整理できます。
- 附属書と品種の対応を確認する:附属書に掲載された種は、CITESの書類と登録票の両方が必要な場合があり、品種名または附属書区分を誤ると取引の性格が変わります。
- 輸入の実績と書類の整合:CITESの書類、検疫の確認、及び産地の確認が一貫した形で結びついていることが、記録として残る取引の土台になります。
- 不正流通を助長しない体制:希少植物を対象とする場合、公的な検疫と書類に基づく正規の取引を基準にして商材を組むことが、愛好者側の信頼の基盤になります。
愛好者側の注意は、次の三つに整理できます。
- 附属書に掲載された植物を、旅行者持ち込みの範囲外で持ち帰らない。附属書掲載種に対しては、CITESの制度で国際取引の規制が行われていると定められているためです。
- 附属書に掲載されている可能性のある品種は、書類を確認してから判断する。書類の見方に迷う場合は、事前に各機関の公式資料を確認する。
- 価格だけを判断基準にしない。希少だからこそ、附属書の掲載の有無や書類の有無によって、取引の性質が大きく変わる。
制度面の一次情報(確認先)
- 環境省・ワシントン条約の概要と附属書の説明:ワシントン条約|自然環境・生物多様性|環境省
- 環境省・附属書掲載の効果や保護の好事例:附属書掲載の効果や保護の好事例|ワシントン条約と種の保存法|環境省
- 経済産業省・CITES規制対象貨物の輸出承認手続き:ワシントン条約規制対象貨物の輸出承認手続き|経済産業省
- 農林水産省・植物防疫所:農林水産省・植物防疫所の公式サイト(輸入検疫と植物の規制の窓口)
附属書の掲載品種や書類の規定は、条約の締約国会議での改訂や国内法の改正により変動します。実際の取引の前には、環境省・経済産業省・植物防疫所の各公式資料を必ずご確認ください。本ページで示した情報は、確認できた範囲での制度の概括であり、個別の事案を判断する根拠ではありません。希少植物の不正取引は世界的にも課題とされており、愛好者側の書類の理解と事業者側の説明の補完が、制度順守の土台として同時に必要になります。なお、国外旅行の持ち帰りという行為のうち、附属書に掲載された種を国内に持ち込む事柄については、制度上の制約があるという説明を、環境省のフローの理解として書き添えておきます。
